閑夜茶話7 関守
閑夜茶話の多くは、南坊録/壷中爐談の引き写しなのだが、ちょっと出典不明のものもある。
休師茶湯に葉茶壷を座敷の潜りの前に飾り置けり。
客は蒲生飛騨・瀬田掃部・牧村兵部・細川輿一郎・古田織部の五人にて、皆傳授の弟子なり。
潜りの戸を開け候へば壷前に有るが故に、五人相談して、坪を座敷の眞中に直して席に入る。
利休出でヽ互いに一禮ありて壷を直し、如何に候哉、兎角座入ならざる故此の如くに候とありしに、利休一段尤のあしらひなりと云はれたり。
潜りに茶壷を飾る迷惑な置き付け。
玉川遠州流の本にも同様の飾り方の記述は有る。とはいえ、直弼の時代より遥か後、大正時代の茶書なので、出典が直弼かもしれない。
http://d.hatena.ne.jp/plusminusx3/20140902
相談した上で入口の邪魔な茶壷をそっと座敷の真中に退避させる、という客側の創意が詰まらない。「割れと言うことですかな?」と織部あたりが言わなかったのがラッキーである。
さらに利休がその行いを「なるほどですね」的に誉めたのがますます情けない。
賓主共にぬるい事おびただしい。
いったいどんなつもりでこんなエピソードを採用してしまったのだろう…。