出光美術館 古唐津

面白いけど、いろいろちぐはぐな展示。

まず最初の位置に、奥高麗や絵唐津や斑唐津朝鮮唐津が並ぶ。
ここで唐津の技法を紹介しようということなのだと思う。

だがここですべきは「古唐津とはなにか?」を定義することだったんではなかろうか?それをしないと古唐津唐津の違いが客には判らないのである。皮鯨は古唐津じゃないのか?とか、そーゆーのが判らないのである。

次に、桃山陶との関連性を示す為に志野や瀬戸黒等との比較展示がある。

志野に似た作行の唐津と比べたら、唐津が霞むのは仕方ないのである。


そして大皿展示が有り、その展示が終わってはじめて「同時代の陶器と比べ、唐津焼には大皿があるのが特徴」というパネルがある。こういうのは先に出すものである。


かわいい「ひよこ」の茶入や、珍しい天目。いろんな奥高麗を見れて全体に楽しいのだが、いろいろちぐはぐな感じが否めない。


展示の最後に、出光佐三と絵唐津丸十字文茶碗とのエピソードが紹介される。

道具商が持ち込んだ絵唐津丸十字文茶碗。これを偽物と一蹴した出光に、道具商はこれこそ本物の古唐津であり、世間で流通しているのは偽物と力説。それを受け入れた出光が古唐津の本格蒐集を始める…というストーリー。

んじゃそれこそ「それまで世間に流通していた古唐津」「出光の集めた古唐津」の比較展示をしなきゃいけないじゃないか。
このエピソードを展示の最初において。

どうにももやもやする展示だった。

ところで出光佐三に茶に呼ばれたら古唐津が出るのだろうか?
近代数寄者としてはしみったれた感じが否めないのだが…。