待庵の謎

小間の照明計画について考えていて、待庵の間取りが今の私には謎だらけな事に気付く。

待庵は二畳隅炉の茶室で、点前する方向に床がある形式だ。

二畳隅炉という事は、点前畳に風炉がある様に炉を扱う事になるが、座る位置が風炉とは違うはずである。

普通、四畳半の炉の線/貴人畳の半畳に入らない様に座り、その線から何目、という風に数えて風炉の板を敷いて、お点前のスペースを確保する。

日本茶道学会の仙樵さんが茶道全集『特殊研究編』に書いた曲尺*1 の説明を自分なりに解釈すると

  1. 畳を二分割し、半畳に亭主は座り、その分割線に膝を置く
  2. 向こうの半畳を二分割し、その中央の線に風炉や水指を置く

のが普通の風炉の点前である。

ところが隅炉の場合、半畳の中央線ではなく、奥に炉が切られている。そのため、普段のお点前より、座る位置も前に行かざるを得ない筈だ。

左が隅炉。右が風炉の場合。

Bの客から見えるのは亭主の背中ばかり、みたいな事はないだろうか?

隅炉の場合は亭主と奥の壁が近いので、圧迫感とかないだろうか?

照明はどうだろう?

「京の茶家」などの写真での待庵は妙に明るい場所なのだが、点前畳に人が座り、茶道口を閉めた状態ではどうなんだろう?

建付側に切られた隅炉。壁と亭主の狭い空間で点てられるお茶。なんとなく閉塞的なイメージがあるのだが。

自分と壁で隅炉を囲む為、亭主の背面、躙口の側の窓Bの明りは亭主で遮られてしまう。しかも待庵の場合、躙口の外には長い庇があり、南の窓Bは抑え目の明るさの筈?東の窓C二つで充分に明るいのだろうか?

案外Aの障子が鍵なのかもしれない。

*1:いまさら曲尺割でもねーだろ、という御意見もあるだろうが、牽強付会な点を割り引けば、意外に判りやすいと思う。