利休の佗び茶

立花大亀/主婦の友社/1989年。

有馬頼底さんがいまいち食い足りない感じだったので、口直しに立花大亀さんを読む。

立花大亀さんのエッセイは「昔アブラギッシュだったがもう枯れている坊さん。説教は雰囲気有って楽しいが若干もうろく気味。つまり胸に暖かなものが溜るが頭上には疑問符出まくり」という感じ。でも楽しいっすよ。

友人の松下幸之助を例に:

しかし彼の財源より見て、彼のお茶事はまことに侘びています。われらが風体より見ればぜいたくきわまるとも、彼には侘びです。われらはわれらの風体においてわれらの侘びがあります。

言いたい事判らんでもないけれど、なんだかなー。しかし松下幸之助って茶人だったのか…。

私は常に思います。お茶の味のことです。
ほろ苦い味です。
ほろ苦い味、どうも浮世の味に似ているようです。一生涯を通じまして、人生の味はほろ苦い味と断ずるのであります。

105まで生きた坊さんに言われちゃ納得するしかないやん。


さて、この本の面白いのは、立花大亀の経験したいろんな茶事を紹介してくれる所。

老師がお茶がすっごく大好きで、しかも茶道具をこよなく愛していたのが伝わって来てとっても楽しい。

しかも:

しばし庭に見とれていますと、先の茶席のにじり口があいて、だれか人が出てきます。はてな、と思っていますと、なんと天下一のうるさい老婆、裏千家の名物女、浜本宗俊老が足元よろよろと、利休杖をつきつつ蹲踞の水をかえております。

意外に口汚いつーかなんつーか。

さて、北村美術館の北村さんの逸話:

庭に大きな柿の木があって、実がもう三つ四つしか残っておりませんでした。しかしその三、四個が実によくきいておりました。
北村さん、柿がうまく残っていますなあ、と申し上げたところ、へへへと笑われて、あれはなあ、つけておまんねん、とおっしゃる。いかにも北村さんらしい。

えー!北村さんってそんな人だったの〜?なんかだまされた感。

利休の佗び茶

利休の佗び茶

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