槐記

茶道古典全集第五巻に収録。

近衛家に仕えた山科道安の日記。

江戸時代の公家の茶を伝える貴重な資料、とされている。

ただ殿上人からの聞き書なので、当然通常の茶の湯ではない。

例えば

待合ヘ着ト、追付御成、刑部、亭主、拙 外ヘ御迎ヘニ出ル、
御會釋 今日御成リ難有ノ旨、亭主申上ル

この記述では当時の亭主が、客を出迎える際に無言ではなく口上があったと判る。
しかし、これを一般化していいのかは非常に難しい。
槐記の記述は全てが貴人に対する扱いである可能性が高いからだ。


あと、利休や遠州の伝承についても語られているが、享保九年といえば1724年。この時点で利休死後133年経っている。

利休死後百年のあたりで南方録が「再発見」され、茶話指月集も刊行済み。

山科道安がこれらの資料に影響を受けていないとは言えない、かもしれない。


分量が凄いので時々、休み休みね。