茶室の話19 にじり口と貴人口の併存
近頃作られる4帖半の席には,たいていにじり口のほかに貴人口がつけられる.
4帖半でにじり口だけだと暗く陰気なので,陽気で風通しもよく使い易くするために貴人口をつけるという茶法の変わりだが,半面,茶席本来の姿である外界から隔離した静かな別天地ということは損なわれる.
近代の茶室に貴人口が付くのは、むしろお茶人≒お茶の師匠、という育成上の偏りがあり、
茶室に風流だけでなく、稽古場の機能を求める為、初心者にもやさしい貴人口が必要なのではなかろうか?
かように,にじり口と貴人口を並設する席では,席に入る時は静かににじり口から入り,席より出る時は速やかに貴人口から出ることが多い.
するどい指摘である。
にじりを出るのはなかなか難しいし、時間がかかる。
しかし出入り両方貴人口だと気分が出ない。
入りだけにじりというのは絶好の折衷案ではある。
ただ、この方法だと、下足を管理する人が必要になる場合が多い。
つまり半東の存在が前提にあるのだと思う。