茶室の話18 貴人口

貴人口という語は近頃使われるようになったもので,古くは,腰障子2枚とか,ふすま2枚とか書いて,潜り口と区別していた.

そういえば貴人口、という用語を古書でみた事がないかもしれない。

紹鴎や利休の初期の4帖半には,庭からの出入口も立ったまま出入りしたが,利休がにじり口を始めてからは,それが正式の入口となり,立ったままの出入口は,次のま、または廊下からつけたものに限られた.
そのうちに庭からも立ったまま出入りする口が付き,普通の内法より低い150cm前後の高さの貴人口がつけられるようになった(庭からの貴人口をより上がり口ともいう).
庭からの貴人口はこのように低くても,地面と畳面に高低の差があるから,頭を打たずに出入りできるが,
廊下や次のまからの出入口は、内法に近い寸法にしないと頭を打つおそれがある.

  1. 庭から普通の出入口
  2. 庭からは躙り、次の間から普通に出入り
  3. 庭からも普通に出入り。

という三段階があったということか。

いったん庭から縁側に上がり、縁側経由で普通の障子から入る、という時代もあったような気がするのだが、自分でもどこに位置させればいいか判然としない。