飛石・手水鉢5

茶室の軒内
茶室では書院庭とは反対になる。つまり、茶室に入る席入りには露地飛石を伝って進むが、書院の場合では座敷から庭の飛び石に出ると言う順序となる。
(略)

書院庭は「出るため/中から眺めるもの」茶庭は「入るため/中を通るもの」なので、構成が違う、ということらしい。

(一)踏石

書院縁側の沓脱石に相当する位置に来るものの名称である。
これは茶室の場合に呼ばれる名で、数寄屋造り、茶室まがいの建設にあってはやはり沓脱石でよいと思う。
茶室とは茶会を行うところ、特徴としては、にじり口と言う入口を出入するには便利なように据えた石であるから、にじり口のない場合にはこの石の用法は意味をなさない。

なるほど。ここでいう茶室はにじり口のあるものをいい、にじり無しに縁側通い口を設けたものは該当しないというわけね。

『築山庭造伝』には「にぢりあがり踏段石、高さ敷居に並び、敷居より凡六寸低きと知るべし、然し敷居高き時其の心地に随ふ、(略)」とある。

露地草履をぬいで席入する関係上、右の寸法は今も昔も変ってはいない。
茶室のにじり口というものが大体定まっているので、膝がにじり口の地敷居にかかるくらいの高さが適当なのである。
ぬいだ草履は側面の下に立てかけ揃えておくので壁から石の間四寸乃至六寸離すのは実用上からそうなる。

膝から入る以上、あまり落差があると入りづらいということか。

たしかに踏石に乗っている状態で、にじりの高さが胸の位置だったら大変な運動になってしまうもんなぁ。

いや、待てよ?ということは、茶室の床の高さは、踏石の高さ+膝の高さの制約を受けるってことじゃないか?

二番石、三番石と階段状に石を配置すれば茶室の床を高くできるような気もするけど、それだと「にじり出る時」怖くて仕方ないもんなぁ。