茶道教室8 稽古を始めるまで

本書は一応茶道教室の先生になりたい人向けの本。

なので施設や場所の解説が載っている。

茶の稽古を始めるに最して、いろいろ設備や準備を必要とする。
先づ第一に稽古場である。
一般家庭にあつては普通の座敷でよい。
茶席は理想のやうではあるが、四疊半以下では反つて不自由である。
風爐釜が本勝手に据ゑられる八疊程度の座敷が最も便利で、これなれば十人程度の稽古場として過不足がない。

二畳の小間とかじゃお教室はやりにくいよってのは当然だが面白い話だ。

後は割と普通の事が書いてあるだけなんだが、終戦直後らしい部分もある。

釜は本來は鐵であつが、近頃盛に陶磁製の代用品も出來てゐる。
總じて蓋が土瓶蓋式で拙劣且つ取扱ひ難いのと、鐶*1付が脆弱で鐶を使用するとすぐ毀れる缺點がある。
(略)
鐵の釜に煉炭・豆炭は禁物だが陶磁の釜なら差し支へない。

見たこと無いなー陶器の釜。

戦中から引き続いての金属不足/燃料不足が良く判る話だ。

しかし、そこまで窮乏していても「茶道教室をやりたい」とは!

この時代の日本人のバイタリティには驚かされる。

*1:原文では金+丸