茶の美

葛西宗誠/文化出版局/1982年。

裏千家業躰から写真家になった葛西宗誠氏の写真&エッセイ集。

ちょっと文章が残念な感じ。でもいくつか。

利休箸

有名な庭はたいてい夢窓国師小堀遠州が造ったことになっている。
作者不明の場合はどうもこの二人が引っぱり出されるらしい。

茶の方でも一般に「利休好み」と称されるものが多すぎる。
なかには一目見ても利休が好んだとは思えないモノまで紛れこんでいるようだ。

利休七種蓋置とかな…。

利休好みとか利休形というとたいへん風流に聞こえるが、それが案外、だれが見ても平穏無事な格好で、奇をてらったものなどはひとつもない。
(略)
我が家では懐石用の利休箸を三度の食事に使っている。
(略)
「利休好み」とは平凡のよさであり、利休箸はたしかに利休の好みだと、わたしは確信している。

たしかに。

手に馴染む利休形楽茶碗も、棗の上で回転しない蟻腰の茶杓も、平凡かどうかは置いといて、使い勝手の良さは素晴らしいですな。