松花堂昭乗16

本書には資料として昭乗の茶会記も収録されている。

寛永申ノ口切 於鐘樓坊

十年酉

寛永九年申九月廿四日 初會

江月和尚 小遠州殿 竹筑後
村不及 同左平 道閑宗玄

一 茶入 國司 袋ハクコク 盆七賢 茶杓 玉ノ緒
一 茶碗 ひらの 一 釜うは口 以下同之 一 水指 四角
一 かうはこ 張成 一 先服は 宮木備前ノ茶入 棚ニ置テ
一 かけ物 三筆 一 花 ラカン 一 花白河硯
一 棚上ニ頓阿玉葉 小古今ト 下ニ大獅ノかうろ置合
一 石菖せいじノはちニ こばん香合

「十年酉」の記述は判らない。確かに寛永十年は酉だが…。
口切を正月とカウントし、もう翌年になったという事だろうか?


初会と書いてあるのは、この道具組で5回茶会を行っているからである。
ただし国司茄子は文琳に変えてある。初会は特別だったわけだ。


村不及は村井不及。竹筑後は竹中重信か?
道閑宗玄は一人の人名に思えないので清水道閑と橘屋宗玄だろうか?
江月と遠州だけでも凄いメンバーではある。


国司茄子は白極緞子解袋を使ったようだ。掛け物の三筆は判らない。蔵帳に「三ふく」とある俊成の暁紅葉かもしれない。

客の人数といい、床の三筆や硯などの道具といい、堂々たる広間の茶である。
八幡鐘楼坊でのお茶は、2畳間の松花堂を作った人とは思えない式正のお茶だったようだ。