當世茶会心得 壱

 

さて、茶事の当日であります。

まず、身支度をする前に検温です。熱っぽい、咳が出るなどの症状の出る方は亭主へ連絡し、茶事への出席を避けましょう。

客は、少なくとも定時の30分前には亭主宅に着いているのが心得です。
よほど遠方の客でない限り、公共交通機関の利用は避けるのが昨今のマナーであります。


亭主宅では寄付の入口にアルコール除菌液が置いてありますので、雨ゴート等を脱ぎ、足袋を改めた後、指先を清め、腰掛け待合に座ります。

腰掛けでは相客とは2メートル程間隔を空けて座ります。腰掛けが昔風に短い場合、正客老齢の方にお座り頂き、他の方は間隔を空けて立って待ちましょう。
亭主が用意した円座の数で、何人が座れるか判断しましょう。

時間が来ましたら、亭主が手水を入れ換え、中潜りに迎えに出ます。客一同も中潜りに向かい、主客が無言で一礼します。
この時客は間隔を詰めて並んではいけません。また、亭主はあらぬ方向を向いて会釈しますが、これは「皆さんに対面して病気を伝染しては申し訳ない」との心ですので、客も亭主の方を向いて会釈してはいけません。次客以降は正客の向く方に合わせるといいでしょう。

この後亭主は戻りますので、客は一旦待ち合いに戻り、頃合いを見て席を立ち、蹲踞で手と口を清めます。

客は持参した襷紐を使い、袂を上げます。袂留めは当流では用いません。

右手で柄杓を取って左手、左手に渡して右手の順に濡らし、柄杓を置きます。

蹲踞には亭主がハンドソープを置いておりますのでそれを手に平に受け泡立て、手の甲、指先と爪の間、指の股、親指と手の平、手首から肘まで清めます。
再度右手で柄杓を取って左肘から指先を濯ぎ、左手に渡し右肘から指先までを濯ぎます。
再度右手に渡し、水一尺を汲んでから縦にし、泡のついた柄杓の柄を洗い流し、手水鉢に戻します。

万が一亭主がハンドソープを置かなかった場合に備え、懐紙に紙石鹸を一枚挟んでおくと便利でしょう。

前の客が手を清めている間、次客以降は2メートルづつ間隔を空けて襷掛けをしながら静かに待ちます。

なお、蹲踞が水琴窟になっている場合、泡混じりの水を捨ててはいけません。
亭主が水捨て用のたらいを用意している筈ですので、そちらへ捨てるようにしましょう。

清めの終った客から順に、襷紐を外してから座敷に入ります。


昨今は広間の茶が主流で、小間で茶をすることは少なくなりましたが、二客以下の会などで小間だった場合、躙口から上がった後も、草履や雪駄を自分で置き直してはいけません。
そのまま脱ぎ捨てで入ってください。ノンパウダーのニトリル手袋をした半東が、下足番をしている筈です。

(続く)