無事是貴人

この週末は皆様テレビの前で、惨状の映像を見つつ、なんともいいがたい時を過ごされたのではないかと思う。

お茶のお稽古や、あるいはお茶事が中止になったりという方も居られたのでは?


かくいう私も、先生んちでの自宅稽古が中止になった。


稽古は神聖にして無断欠席など許されざるもの。そう思っていたのだが、足が復旧してないわ電話が繋がりにくいわ先生の無事自体わからんわで、今日のお稽古どうしよう?なんて正直困ってた。
ま、いざとなったら徒歩ででも行って先生の無事だけでも確認しよう、そう思っていたが、運良く先生と電話が繋がり中止とあいなった。

先生(と道具)の無事も確認でき、まずはよかったよかったという所。


にしても、大手の流派のホームページの中で、被災者への気づかいがほとんど無いのが情けない。

裏千家なんてこうだぜ。

この度の東北地方太平洋沖地震により下記の研究会・道場稽古・ゼミナールを延期させていただくことになりました。
それぞれの振替日については、改めてご連絡いたします。

千家は京都が本部とはいえ、もう一言あってもいいんじゃない?

気づかいの一言があったは遠州流だけ。

3月13日(日)開催の「遠州忌茶筵」は中止とさせていただきます。
被災した皆さまのご無事をお祈りいたします。

遠州流偉い、と云わざるを得ないのが情けないぜ。


さて、日本全体に目を向ければ、火力発電所原子力発電所の被害も大きく、輪番停電が行われるとか。

原子力で底上げした発電能力を前提にオール電化を推進、なんていう電力会社の戦略が破綻したわけだが、炭の使い方を知っている我々にはもしかするとなにか出来ることがあるのかもしれない、とか思ったりもしている。

まぁこれから日本人の底力が試されるよね。


さて、月曜日。


東北〜北関東の惨状は惨状として、僕等は日常に戻らなきゃいけない。
あの惨状を映像として楽しみ続ける贅沢は僕等には無いはず。

仕事して、食わなきゃいけない。

電力低下なんていう未曽有の事態の中で、国力が下がっちゃったら被災地の今後だって助かる筈のものも助からなくなっちゃう。

変わってしまった日常の中で、日常を日常として受け入れて、雄々しく日常と戦わなきゃ、だぜ。

もちろん、その日常の中にはお茶を巡る普段も含まれている。

さぁお茶にも復帰しよう。

多分、これから再開されるであろう多くの日本中の教室で「無事是貴人」が掛かるのではないか?と思っている。

貴人はわたしであり、あなたであり、みんな。

禅語の用法として間違っていても、皆の無事を祈るのは別に間違った事じゃないしね。


がんばろう、日本。