石州秘伝 石州三百ヶ条8 風炉の内の仕様土器に割土器立土器有事

風炉の灰形なんかの話。

風炉の灰形ってのは意外に新しいものなんじゃないか?というのは以前書いた。
http://d.hatena.ne.jp/plusminusx3/20100704

さて、この時期は?


石州秘伝本:

風炉の内の仕様土器に割土器立土器有事
(中略)
風炉の内灰に名所あり。
きり向、とめ前、かへし前、おろし前、本左右 未左右 以上六所なり口伝、
灰は五徳の内と外へ仕掛る也口伝

未ってのは末の間違いだろう。本に対する末である。


六ヶ所の見所ってのが良く判らんが、その解説は茶道古典全集本にあった。


茶道古典全集本:

風爐の内仕様、土器に割かハらけ・たて土器の事

(中略)
一、風爐の内ハ、風炉のかたち丸くして陽也、灰は四角に成様に陰の心持也、
ことくの爪の脇、きしもゝよりしのきを立、右の爪の外つらはちしをまハし、
右のかた一二寸入てとむる、是を本と云、
又、左のことくの右角より前へ少シのき有、
衣服の前をかさね候氣味なり、末の方の外に少灰の心持有、是をおろしといふ、
土器の前にはいの心持有、是を返しといふ、
向ハ一文字に五徳より向ふにしのきを立候、
左の方は末より向の灰までの間、天然と灰崩候様に和らかに致し候、風炉へつけ申候、向こうの右の方ハ角をまハし、風炉を少はなし、しのき立もとの所迄(にて)切申候、口傳ならてハ、
(後略)


どうも文面を読む限り、風炉の灰形は、四角の一種類。

両サイドにエッジの立った二文字みたいなものだろうか?

この文面を頼りに作ってみた。

前土器から立ち上げた灰を右側(本)、向こう側(向)、左側(末)と四角く廻し、前土器の前で灰を重ねる。んで左側は崩れ気味。

…まぁさほど変ではない気がする。


でも、これだと土器の前の「衣服の前をかさね候氣味」が、左前になってしまうのが気になる。

でも「いろりの内見申候に仏法の心持あり」の章では、初炭→灰を火葬に見立てたりしているので、もしかするとこれでいいのかもしれない。