茶道四祖伝書

松屋久重著 松山吟松庵,熊倉功夫訳注/思文閣/1974年。

刊行版としては戦前の松山吟松庵版もあるが、古本屋でやや手頃なこちらを。


松屋久重が松屋会記(他会記)と、今に伝わらない自会記と、その他諸々から編纂した、利休、織部、三斎、遠州に関するエピソード。

…なんだけど。

読んでて「なんの意図で松屋久重がこの書をしたためたんだろう?」というのが良く判らんことがあるのよ。


例えば「利休居士伝書」にこうある。

(立様ノ事)先茶碗をなをし、炉五六寸程、畳(目)五目半程内へ入(置)、ふくさ取出し、茶桶を掛、畳十五(六)目、手桶よりハ六寸程隔て置、扨ふくさを左へ渡し、右にて茶杓を取上、二度程拭茶桶の上ニ置、ふくさを左の袂ニ入、

こういう、普通のお点前の仕方に対する記述は、

  1. 利休に教わったから書いたのか?
  2. 利休流は一般にこうやるという意味なのか?
  3. 単に脈絡なく久重が覚書を入れてしまったのか?
  4. 久重の別の覚書が意図に反し混入しているのか?

よく判らないんだよね…。

底本が如心斎経由小堀宗中という何段階もの筆写を繰り返しているものなので、どこまでが原本にあった事で、どこからが途中で書き足されてしまった事なのかとか判らないのも事態を難しくしている気がする。なにかの間違いで入り込んでしまった記述かもしんないからだ。

そういう意味ではなかなか読むのが大変な本だゼ?

なお、宗旦や少庵などのエピソードは利休に含まれる。
ほぼ同い年である遠州と宗旦。遠州のみに独立した項があるのが松屋的な交流の方向性を示しているかもね。

茶道四祖伝書 (1974年) (茶湯古典叢書〈1〉)

茶道四祖伝書 (1974年) (茶湯古典叢書〈1〉)

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