槐記12 台天目

享保十一年十二月十五日:

今ノ臺天目ハ、臺天目ノ主意ヲ取違ヒテ居ルト見ヘタリ、
其方始メトシテ、貴人高位ノ人ニハ、臺天目ニテ茶ヲ申スヤウニ覺タルハ誤リナリ、
臺子ニ七飾ト云事アリテ、茶碗ヲ三ツ飾ル、茶筌 茶筌載セニ載セ、茶入 盆ニ載セ、
茶巾 茶巾載セニ載セ、棗、ト七ツナリ、
此ノ時モ、天目ハ臺ニ載セテ飾ルナリ、
總ジテ天目ト云物ハ、尻スボリアルモノニテ、臺ニ載セザレバ、茶ヲ點ル事モ、
飲ム事モナラヌモノナリ、故ニ臺ニ載セタルモノナリ、
(中略)
故ニ昔ノ臺天目點ト云ハ、名物ノ天目ヲ所持ノ人ハ、臺天目ヲ點ル、
天目ナキ人ハ、臺點モスベキヤウナシ、別ニ先ノ人ノ尊テ點ル事ニハ非ズ、

今、台天目してる人達は、なんか勘違いしてるよねー。
貴人には台天目でお茶を、とか覚えてるみたいだけど、天目は台に載せるのがルール。
だって台に載せないと使い物にならんもんね。
だから台に載せるってだけ。
なので、名物の天目を持っている人だけが台天目を点てるの。
天目持ってない人は、点てようもない。別に貴人を貴ぶお点前ではないの。

ぐらいの意味か。

しかしこの七つ飾り、どこか他でも記録のあるものだろうか?
とりあえず南方録には無かったような。


さて、私も「貴人=天目台」みたいなイメージを持っているが、すでにこの頃そうだった、というのが判る。

そしてばっさり「貴人=天目台」を切り捨てている。

室町の頃はどうだったんだろう?

貴人、という概念も、台天目も分類草人木に出てくるが、貴人には台天目でお茶を出せとは書かれていない。


まぁ貴人である近衛さん的には、どこ行っても天目でもてなされるんでうんざりしていたのかもしれない。