茶杓をつくる4 むずかしい櫂先の曲げ

櫂先の曲げは難しい。というか、私にとってこれは何もかもを駄目にするプロセスといってもいい。

湯だめ法を教えて下さった洛北大原の北山竹閑さんのやり方で曲げてみたが、これは、素人の私にはたいへんむずかしい。
これは右の手の拇指で熱いところを曲げ、櫂先の曲線を作らねばならない。
それが熱くて、とても苦しい。

そうか、私がやっていた煮沸法は、急ぎすぎだったわけか。
道理で十分に曲がらず/ぱっきり折れたわけだ。

私は、
(前略)
曲げの火にかけられるようになった竹を二昼夜水に浸して、あと一日濡れタオルで包んでおいたものを、三日目に小さな炎で焼いて曲げる。

水に漬けといての直火。やった事有るんだけどこれもうまくいったためしがない。

ゆるやかに持って、曲げるところを静かに炎の真上にかざし、はじめしばらくは表、裏をぐるぐる回して両面からあぶる。すこし焦げそうになる前に裏だけからあぶるのだが、そのころになると、竹べらはもう飴のようにやわらかくなりはじめるので、両端を強く持って、右左右左交互にねじためて、飴細工のようにしてしまうのである。

最後裏からあぶるのは、焦げても裏は削ってしまうからだろうな。

そのころには、美しい竹べらは煙を吐き、小さな炎を出して燃えはじめている。
燃えてもすこしもかまうことはないのだ。
はじめは燃え出すとだめだと、急に力を加えて曲げていたので肝心かなめのところで折れてしまったのである。

この秘訣、やった事のある人にしかわからないかもしれないが、ものすごく目から鱗である。

とはいえ、厳選して厳選して採取した竹の樋の部分、燃やしたり焦がしたりはしたくはない。
こりゃ数こなして練習せんといかんのじゃろうな。