チョコレートからヘロインまで

Aワイル,Wローセン/第三書館/1986年。

ドラッグ文化について書いた啓蒙書。
我々の嗜む茶の湯の本質はドラッグパーティーなので参考になる(かも)。


ドラッグではセットとセッティングが大事だと著者は言う。

“セット”とは人が薬物を用いる時、何が起こると期待しているかということである。
期待は過去のすべての経験によって形づくられる。

セットは薬効と結果への期待感や知識。

“セッティング”とは薬物が用いられる時の状況である。

セッティングとは薬物を楽しむための環境。60年代の渦渦模様のインテリアとかもそれだ。

つまり:

パーティ会場では人をハイな気分にさせた量と同量のワインで、孤独なへやで滅入っている人はさらに憂鬱になるかもしれない。

どういう目的でそのドラッグを服用し、楽しむ為にどういう環境を準備するか、という事だ。


この視点で茶の湯を考えてみる。


茶の湯でセットにあたる概念は「一座建立」になるのだろうか。
もしかすると吸茶がその為に導入されたのかもしれない。


茶の湯のセッティングにあたる概念はいろいろありそうだ。

絶対に必要なものは「客組み」だろうか。嫌いな人とお茶飲んでて楽しい筈もない。

もしかするとくそ狭い茶室も酩酊感向上に役だっているかもしれない。

高価な道具はセッティングの一部と言ってもよいだろうか?
難解な墨蹟はどうだろうか?


ムロマチのドラッグ王にして偉大なティーマスター、リキュウ・ザ・サウザンドはドラッグ文化の推進の為に廻し飲みの創始と狭い茶室の建設、簡潔な点前への改善を推進した。そう考えると面白いかもね。