茶道便蒙鈔と宗偏流

茶道便蒙鈔の点前と1977年の「茶の湯テキストブック 宗偏流」のお点前を比較するよ。

茶道便蒙鈔

柄酌蓋置持出圖の所に置客へ膝御直しの時宜有へし
扨主もとくと居直るなり
居樣は建水の方の膝を少跡へひく也
それゆへ風爐も小板のろくに不構表の方へ少しひらかせすゆる也
それにて我身の居やうとろくになる也

宗偏流

2 建水を持ち出し柄杓を引き一礼
仕込んだ建水を持ち出し、畳の中央にすわり、建水は左脇におきます。
薄茶のときと同様、左手で柄杓をとり出して右手に渡し、左手で蓋置をとり、右手に持ちぐるみにし、左手を畳について左ひざを引き、風炉に向かいます。
これが風炉点前の常座です。

どちらも風炉に正対せず、少し建水側の膝を引いた姿勢になっている。

茶道便蒙鈔

扨茶入を右の手にて取茶碗と我膝との眞中に置。
むすびめの輪を兩手の中ゆびにて少をしくつろげ。むすびめを兩手のゆび二つ充にてときのばし置。
左手にて茶入を持。前の相引の通り。
つかりぎハを拇にておさへ。右手にて前の輪。左の方一筋取。前へ引さまに手をあをのけ。一はいに引すまし。
兩手にて向の方を左へ押廻し。
右の手を茶入の上におほひ。つかりを右のゆび二つにておさへ左のゆびにて打とめを持。緒の中程まて引出し。

宗偏流

右手で茶入を横から持ち、ひざ前におきながら左手を添え、両手の中指先を下から茶入れに添って上げ、中指で緒の結び輪を押しゆるめて親指、人さし指で、結び目をときます。
左は親指を結び目にのせかけ、四つ指は茶入をささえ、右手で前の輪を持ち、手首が仰向けになるように引きます。
両手で茶入れ持ち、袋の打留を左に廻して右の親指と四つ指で仕覆のつがりを押え、左の親指、人さし指で打留を持ち、中指、薬指、小指は伸ばして茶入にあてがい、左へ中指の長さに、緒を引き出します。

こんな感じでおどろくほど一緒。

普齋も異義を唱えていない以上、宗偏流は宗偏と言うより宗旦のお点前を保存している流派なのかもしれない。
茶道便蒙鈔という資料が有るが故に宗偏流は変わることができなかったのだろうか。