利休道歌に学ぶ32 メリハリ

「強気は弱く軽く重かれ」の句と対な気のする二句。

なまるとは手つづき早く又おそくところどころのそろはぬをいふ

なまるというのは生ぬるいというような意味だと思います。
お点前の流れの中で、「手つづき早く又おそく」するなというのは、騒がしくお点前をしてはいけないということです。
お茶を差し上げるまでは丁寧にしてもいいが、後半はサラッと流せというようなことはよく言われます。
お客さまがいるのに最後まで粘ったお点前をされると、お客さまがイライラします。
もうお茶をいただいたのですから早くしまってくれたらいいのにというような思いも起こります。
(略)


業躰の解説は「手つづき早く又おそく」の解説になっていても、「ところどころの揃わぬ」が語られてない気がします。

私は「手つづき早く又おそく」を、こう解釈します。

お点前では早くすべきところは早くすべきだし、遅くすべきところは遅くすべきです。
すべてが一定速度というわけではありません。
でも、一つの手続き中は同じ速度であるべきで、棗をすっと持ち上げたはじめたのにじわーっと運んだりしてはいけない、ということだと思います。

「ところどころの揃わぬ」は、緩急がおかしいので静止すべきところでピシッと決まらない、ということを指しているのだと思います。

点前には重きを軽く軽きをば重く扱ふ味ひをしれ

味わいを知れというところが問題だと思います。
(略)
自分の心を目で追うようにしてお点前をすれば、自然と使っていないほうの手にもその心が残っているわけです。そういう味わいを知れということだと思います。

これはむしろ重いのを重いように、軽いのを軽いようにお点前してしまうと、道具の軽重でお点前が変わってしまう。だからそういうのを避けよ、ということですよね。