天目茶碗考18

國寶その他、現存してゐる天目茶碗の名物を、參考までに擧げて置きたいと思ふ。

曜變天目

横濱小野哲郎氏藏(大名物、高さ二寸三分、口徑四寸、舊稲葉子爵家藏。巻頭口繪原色版參照)

所謂稲葉天目。現在静嘉堂文庫所蔵。
小野哲郎は横浜の生糸商人。
藤田の曜変天目よりぐっと小さい、という印象だったんだけど、実は大きい?

男爵藤田平太郎氏藏(大名物、高さ二寸二分五厘、口徑四寸〇五厘)

藤田の奴。

侯爵徳川義親氏藏(大名物、高さ二寸四分八厘、口徑四寸四分五厘)

徳川義親は尾張徳川家の当主で、徳川美術館の創設者。
徳川美術館所蔵の油滴に近いもののようである。

京都龍光院藏(大名物、高さ二寸一分五厘、口徑径四寸)

未だ見たことのない龍光院の。

侯爵前田利為氏藏(高さ二寸一分五厘、口徑四寸ー三寸九分)

前田利為というキーワードだと、根津美術館の油滴天目が、昔は曜変として扱われていた、というエピソードが引っかかる。

だが、前田家旧蔵だとMIHO MUSEUMのものもそういう事になっている。

伯爵酒井忠正氏藏(高さ二寸一分五厘ー二寸二分、口徑四寸ー四寸一分、眞鍮覆輪)

こちらは大阪東洋陶磁美術館にある国宝の油滴天目だろう。


昔は油滴天目の一部が曜変として分類されていた様なのだが…MIHOの曜変の来歴がわかんねーなぁ。

前田家が旧蔵していた天目が二碗あって、どうかんがえても「いい方」が根津に行くと思うんだよね…。どっから出てきたの?これ…。