ストーリー

自分はお酒が好きである。

自分の茶事になら、日本盛から出ている「惣花」にしよう。そう決めている。
地酒ブームの中では注目されない大手の酒だが、大変うまい。

この酒のいいところは、宮内省御用達で宮内省の宴会では常に使われている、という噂のあるところで、茶事にはこういうストーリーは大変好ましいのである。

茶席の会話というのは、そういう事についてなるほどなぁと応酬するものだからであり、ストーリーのない道具や酒肴は、会話が盛り上がらずつまらないのである。

注意しなければならないのは、ここで必要なのは「宮内庁で使われている」というストーリーであって、事実そうであるかどうかではない、ということである。

別に本当に宮内庁で使われてなくてもいいのである。みんながそう信じていればいいし、みんなが知らなくて亭主が信じてしったかぶりできれば、それでいいのである。

そしてここで「宮内庁に事実関係を確認する」というのは、たんなる野暮である。


同様に。

歴史を検証してそれは利休さんがやったやらなかった…というのを検証するのも、単なる野暮である。

自分で言うのもなんだけど、自戒の為に。