名物拝見記

北村美術館 花どき

北村美術館は、跡見の茶会スタイルを貫く、茶の湯美術館である。寄付から見始めて、懐石、濃茶薄茶へと移行する。今回は寄付位置には「番外」と書いてあり、そこには二人で使う比翼煙管が、吉野間道袱紗を敷いて置いてある。エロい。 テーマは吉野太夫と灰屋…

野村美術館 高麗茶碗

野村美術館の高麗茶碗の特集。 これだけ書いただけだと「ふーん」って感じ。でも違った。発掘調査や対馬藩資料などを通じ、秀吉唐入り前後で、日本からの茶陶注文がどう変遷したかの特集。3列の陳列棚がある。右には唐入り以前の、かなりナチュラルな朝鮮陶…

徳川美術館 大名の数寄

入ってすぐに、漢作瓢箪茶入「玉津島」、唐物文琳茶入、古瀬戸野田手茶入「蓬生」。玉津島がカッコイイ茶入であるだけに、唐物文琳の釉のつまらなさ(本当に唐物か?)、古瀬戸の格の低さが強調されてしまう。 この三つを並べるのは、鷹揚でもあり、無神経で…

畠山記念館 THE琳派 極めつきの畠山コレクション

今年は琳派四百年、ということで、畠山でも琳派の展示。光琳、抱一、宗達、そして光悦の書画が並ぶ。 乾山の、いつもの透かし鉢。 光悦の、いつもの「雪峯」。 日本全国で琳派の展示をやるということは、各館の持ち物の中での展示になって、やや「いつもの」…

サントリー美術館 天才陶工 仁阿弥道八

大変めずらしい道八メインの展示。道八の鉢や茶碗にさまざまな画家や書家が直接絵付けしたコラボ作品がたくさん並ぶ。 でも乾山の量産ものに光琳が書いたような家内制手工業ものとは違う感じ。「だんさん、だんさん。道八さんの鉢に、お好みの画家の絵付けて…

畠山美術館 大名茶人 松平不昧の数寄

最終日滑り込みで観覧。不昧公を慕う展示、ということで今回の見どころは「箱書き」。特に油屋肩衝は、全ての箱を展示してあってド迫力。あんなちっこい茶入の為に、入れ子の箱がドカンドカンで最後は背負子がドーーーン!。利休牙蓋、織部牙蓋、古来牙蓋と3…

根津美術館 誰が袖図

“誰が袖”は、どーゆーわけか判らないけど、心躍る文様である。そーゆー“誰が袖”を期待していくと、ちょっとこの展示は物足りない。“誰が袖”文様の何か、があるというより、“誰が袖”のびょうぶが幾つかならんでいるのに加え、カラフルな衣装が描かれた大和絵…

根津美術館 清麿

メイン展示の「清麿」は幕末の刀鍛冶、清麿の刀の展示。新々刀なので、大金持ちの根津さんが持つ様なものではなく、全て「個人蔵」で根津美術館所蔵の品がないという不思議な展示。清麿面白いし珍しいし、いつものごとく照明に不満なんだけどまぁこのブログ…

藤田美術館 開館60周年特別展序章

藤田さんとこの「序章」というだけのことはある。ほかは藤田さんの多彩なコレクションからいろいろ出てきた、という感じか。 いつもの茶道具展のつもりでいくと肩透かしかも。 まずは曜変天目茶碗。 いつもの…そして究極の茶碗である。 そして白縁油滴天目鉢…

湯木美術館 激動期の茶の湯 少庵・織部・三斎の茶道具

タイトルはこうあるものの、展示トータルから受ける印象は「激動期の茶の湯」というより、「コンディションのよい綺麗な茶道具達」でしかないのが料亭である湯木さんとこの限界かもしれない。 少庵の竹一重切花入。すごい存在感。御所丸茶碗「由貴」。 なん…

齋田記念館 茶の湯の心

齋田記念館で行われた會津八一記念博物館所蔵「富岡重憲コレクション」の展示。現川茶碗。 端正な轆轤に青黒い釉薬。そこに白い模様が散る。キャプションには雪華文模様とあるが利休梅にも見える。端正でお洒落な茶碗。絵唐津草文茶碗。 こういう唐津茶碗に…

井戸茶碗の見込み

喜左衛門井戸の実物を初めて見た時、「目跡がある」という先入観が否定されて驚いた記憶が私にはある。そう。井戸茶碗には必ず目跡がある、というわけではないのだった。 根津の井戸。せっかく72も碗があったんだから、目跡に関して調べてみた。 種別 有 無 …

根津美術館 井戸茶碗 戦国武将が憧れたうつわ

根津の、井戸茶碗大集合展示。なんと合計72碗(現時点)。背伸びして見込みを覗く。 軽くバックステップして全体を眺める。 屈んで梅華皮を覗き込む。 サイドステップして次の茶碗に移る。…バスケが上達しそうだ。膝悪いとこりゃテキメンやな。しかしこれだけ…

五島美術館 光悦 桃山の古典

光悦の、書と陶芸をドーンと集めた展示。あとちょこっと漆芸。 展示室1の、外周を埋めつくす書。展示室1の、センターを埋めつくす器。ド迫力である。 書を展示順に見て行くと、いろんな消息が軸装されている。六日付書状「十四之朝 御茶申度候」。 当時の茶…

国宝「卯花墻」と桃山の名陶

「卯花墻」国宝公開義務のノルマ展示(ぶっちゃけ)。何回も見たものも多いが、でも良いものは良いので。 まず展示室1に黄瀬戸立鼓花入。何度見ても良い。どんな花入れればいいのかよくわからんが。志野茶碗「通天」。低い台形で斜めに土が盛られている様な不…

パナソニック汐留ミュージアム 幸之助と伝統工芸

第一展示室には松下幸之助の使った茶道具。 第二展示室には、幸之助が役員をしていた日本工芸会の作品。 一入の黒楽茶碗「閑談」。少し飴色がかった小ぶりの楽茶碗。雅味がある。宗入の黒楽茶碗「毛衣」。普通の黒楽。悪くはない。あとは近現代物なのでどー…

畠山記念館 麗しの漆

蒔絵と螺鈿をテーマにした展示。 …なので真塗手桶形水指の出番は無し。ちょー残念。では肝心の漆器の展示。…「綺麗でした」としか。もうちょっと解説がんばって欲しかった。 どういう技法なのか?文様の意味は?保存状態や蒔絵の摩耗はどうなっているのか?…

藤田登太郎 茶陶展

畠山記念館の茶室を使って行われる藤田先生の茶陶展。一年半ぶり。今回はむしろ志野以外も充実。 チャーミングな瀬戸黒茶碗「云辺寺」。堂々たる井戸茶碗「立花」。この辺が二十代の頃の作品って…凄過ぎる。 志野で気になったのは「おほやしま」。 荒々しい…

永青文庫 細川三斎の茶

利休大好きっ子、細川三斎ゆかりの茶。入口にはWW2の戦災から掘り出した阿弥陀堂釜がお出迎え。 天明平釜「荒磯」が目を引くが、私の気に入りは四方釜「とまや」。 太鼓胴の四方釜ってはモダンで素敵。三斎作竹二重切花入。利休形。利休が好きで好きでたまら…

頴川美術館 美と歩む

頴川美術館のコレクション展。ぶっちゃけ方向性は皆無。でも素晴らしい道具と絵画が見れる。長次郎赤楽茶碗「無一物」。 見るの何回目だろうか。根津で見た時はカスカスだったが、こちらでは(やや)しっとり。やはり照明の違いだろうか。 …お湯に漬けてから見…

大阪くらしの今昔館 中井家伝来茶室起こし絵図展

大阪市立住いのミュージアム/大阪くらしの今昔館にて開催されている大工頭中井家に伝わる茶室起こし絵図を中心にした展示。 企画展だけ見るなら300円。お値打ち。中井家は法隆寺宮大工の家系で、大阪冬の陣の大阪城砲撃に協力した大工マスター。その中井家…

湯木美術館 江戸時代の千家の侘び茶

湯木の春展示。 宗旦〜宗旦四天王中心の頃の展示。入口近くに宗旦の瓢花入「面壁」。 畠山記念館の道安の瓢花入「木菟」と比べると大きい。 でも作風同じ感じ。まあ瓢花入なんて誰が作っても似てしまうのかもしれんけど。白釉輪花口水指。仁清の変態的な精度…

藤田美術館 茶道具いろは

いろんなエピソードの有る茶道具をあつめた展示。利休斗々屋茶碗。織部が質屋に入れたと言ういわくのある茶碗。根来塗中次形茶入。初見。端正で美しい。古伊賀花生「寿老人」。耳のたれた力強い花入。樹林文茶碗。仁清らしいろくろの冴える茶碗。信長が勝家…

東京国立博物館 松永耳庵の茶道具

トーハクに、耳庵の茶道具を観に行く。 古銅象耳花入 秋月。パオーンって感じに象がついているが、15世紀の中国に、こんなに象の写実を可能とする象への知見があったんだろうか?唐物文琳茶入「宇治」。いろんな替え蓋があるらしいのだが、せっかくだから展…

畠山記念館 利休と織部 茶人たちの好みと見立て

今回の展示はたぶん、長次郎の赤楽 早船がメイン。でも私は早船そんなに好きでない。長次郎にある独特の緊張感が足りない気がするから。しかしこの茶碗の金継ぎは凄い。こなごなに割れたのを継いであるのだが、割った時、持ち主はもんのすごい青ざめたんじゃ…

北村美術館 追憶の茶

なにが、どう、追憶なのか?展示目録にいう。 今回の展示は、執権北条時宗に招聘され来日、鎌倉五山第一位の古刹・建長寺第五世に就き、やがて円覚寺開山に迎えられ両方を兼務した無学祖元禅師の墨跡を中心に、蒙古襲来のころを偲んでいただこうと企画いたし…

大西清右衛門美術館 京釜の粋

「京釜の粋」というタイトルだが、「とりあえず京釜の特集です」くらいの意味か。 そもそも「粋」という概念と「茶の湯釜」は親和性悪いと思うんよ。 大西浄林の笠釜。大侘びの荒れ膚の釜にやぶれ傘の環付がおしゃれ。 でも桃山末期にこんなおしゃれな意匠が…

大阪歴史博物館 三代木津宗詮と大阪の職方

正式タイトルは「大阪の茶の湯と近代工芸─ 武者小路千家の茶人・三代木津宗詮と大阪の職方」。長いよ。 武者小路千家の宗匠家、木津家の三代目宗詮こと宗泉と、当時の大阪の茶道具職方に関する特集展示。 木津宗泉は庭と茶室の設計で有名だった人物。当時の…

藤田美術館 藤田傳三郎の想い

藤田傳三郎の死後、跡を継いだ息子達。 その息子達のコレクション。 雲鶴青磁下蕪花生。立鶴等の象眼青磁の茶碗は良く見るけど、同じ技法の花入は珍しい。 光悦白楽茶碗 白孤。飲み口が片口ほどではないが飛び出しており、狐の口にみたてたのだろうか?ある…

畠山記念館 ふしぎ発見!茶道具と銘をめぐる物語

五反田から日の当たる急坂を登って畠山に着く。当然滝の汗。 しかし、なんと畠山の入口に乾いたタオルが用意されていて、汗を拭くことが出来たのだった! なんともありがたいもてなしだ。 …でもタオルを巻いたまま展示室をめぐったのはおっさん過ぎたな。 そ…